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スマイル歯科医院 の日記

咀嚼運動がおこるメカニズム

2011.01.18

口を開いたり閉じたりして食べ物を食べます。
この運動のことを咀嚼(そしゃく)運動といいます。

例えば食べ物を前歯で噛み切って、奥歯で咬み、最後飲み込む(嚥下)といった一連の動作を考えてみましょう。
これを仮に10回とします。

お箸で食べ物をお口に持っていきます。そして前歯で噛み切ってお口の中に入れます。(1回目)
この状態は意識が働いています。「食べるぞ」という意識です。

2回目~9回目の咀嚼運動、これは何も考えていません。
例えば今右で3回咬んだから、次は左で3回かんで…というようには考えてませんよね。
無意識にくちを動かして左右で咬んでいます。

最後10回目、食べ物もほどよくこなれたので飲み込みます(嚥下)。
これは「さあ、飲み込むぞ!」という意識が働いています。

こうして見てみると、前歯でものを咬みきる1回目(食物摂取時)と最後飲み込む(嚥下)10回目は意識が働いている運動ですが、後の2回目~9回目のまさに食べ物を咬み砕いてる間の運動(咀嚼中の運動)は、無意識でオートマティックな運動です。

このオートマティックな運動は、ピアノを弾いたり、タイピングしたり、あるいは歩行運動をしてるときと似ています。
これらの運動をしてるときも、今右の薬指を使ったので次は左の中指を使って、鍵盤(キーボード)を叩こうとか、今左足を出したので今度は右足を出そうとか考えていません。

咀嚼中の運動は無意識でオートマティックな運動ですが、反射運動ではありません。
お医者さんが脚気になってないかどうか調べるために膝蓋腱反射を見ることがあります。膝をハンマーでコチッと叩くと足が無意識にぴょこっと上がるというアレです。
これは反射です。
お口でいうと、ごはんを食べてるとき、中に石が入っていることがまれにありますね。
誤ってその石を咬んでしまった場合、無意識にお口が開きます(開口反射)。
膝蓋腱反射の場合は、脊髄、開口反射の場合は脳幹が働いていますが、双方とも大脳皮質は働いていません。
大脳皮質が働いてないので反射運動は意識をしない、無意識な運動なのです。

咀嚼運動の場合は、ちょっと難しいです。
食物摂取の1回目の時と嚥下の10回目は、意識が働いているので、大脳皮質の指令が関与しています。
ところが咀嚼中の運動は無意識です。
この間の運動は脳幹にある咀嚼リズム発生器によって起こっていることが分かっています。

左右均等に咬もうとして、右で今3回咬んだから今度は左で3回咬もうとする人がたまにいらっしゃいますが、これは神経生理学的な面から考えますと、咀嚼中の運動は大脳皮質が関与しない無意識の運動なので、そこに意識を入れる(大脳皮質を関与させる)というのは、非常に無理があると言えます。

左右どちらか一方で偏って咬む人は、多くの場合、歯に原因があります。
ですので、まず偏った咬み方の原因となっている歯を治療することを優先するべきです。
そうすれば、自然と偏った咬み方は解消します。
咀嚼中の運動の神経メカニズム自体が、大脳皮質が関与してない無意識のものなので、そこに意識を入れようとするとノイローゼになってしまいます。
食べていてもおいしくありませんし、唾液もでにくくなり、かえって体には悪影響です。

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