スマイル歯科医院 | 日記 | 歯科治療をオートマ化できるか？

本日は休診日でしたので、久々に美容院へ行ってきました。
店長さん、すごい計画をお持ちです。
ほとんどの美容師さんは、美容師学校で習ったとおりに紋切り型で一人一人のお客さんのカットをしているのだそうです。
実際は、一人一人、頭の形も違うし、髪の硬さや太さも違うので、紋切り型のカットはダメで、各人にあったカットをする必要があります。
しかし、美容師学校では、そこまで習わないので、ほんとんどの美容師さんは、学校で習った域を超えないで、紋切り型のカットをやってしまっているのが実情だそうです。

そこで、お客さんの頭の形、髪の状態等、かなりの数のデータをパソコンに入力し、ボタンをクリックすると、そのお客さんに最適のヘアースタイルを提示し、そのカットの方法までが詳細にでてくるというシステムをＩＴ関連の会社と提携して作ろうとしているのだそうです。
これには莫大な費用がかかるそうです。
でも一度このシステムができあがれば、普通の美容師さんでも、カリスマ美容師さんと同じくらいのカットができるようになるそうです。
このシステムでなされたカットは、紋切り型のカットではなく、そのお客さんだけのためだけにデザインされたカットだからです。

このシステムが完成すれば、同様の方法で歯科治療にも応用できると店長さんは言います。
患者さんの歯に関係するデーターをあらかじめコンピューターに入力しとけば、まだ卒業して間もない歯科医師でもベテラン歯科医師と同じように、その患者さんに最も適した治療方法をボタン１つで選択でき、実際の治療手技まで瞬時にして分かるというのです。

果たしてそんなにうまくいくのでしょうか？

ヘアカットの世界については分かりませんが、少なくとも歯科医療に関しては、それは無理だと思います。
歯科医師が患者さんの症状を聞き、レントゲンをとって、実際のお口の中を拝見し、歯科医学的な知識と臨床経験を総動員して、患者さんが何故このような状態になってるのかをつきとめ、そして治療計画を立て、実際に治療していく。
この過程は、いくらハイテクＩＴを屈指しても、やはり最後は人間である歯科医師がやらないとできないと私は確信します。
これって、私の頭が古いのでしょうか？（笑）

歯科医療は紋切り型では決してできません。
患者さん一人一人のお口の状態は全て違います。
我々歯科医師は、それぞれの患者さんに最も適した治療方法を選択し、治療しますが、それは世界でたった一つしかない、その患者さんだけのためのものです。
たとえば詰め物ひとつとっても、歯医者がその患者さんの虫歯の状態に合わせて歯を削り、歯型をとって、歯科技工士さんがその歯型の上でその患者さんの歯に合った詰め物を作ります。
これは完全にオーダーメイドの世界です。
こうしてできあがって、お口の中にセットされた詰め物は、世界でたった一つしかありません。
あなただけのものです。

今までも沢山の歯科関係者がなんとか歯科治療をオートマ化できないものかと挑戦しましたが、現在まで成功にはいたっていません。